2020/09/18 19:12


今から35年前。 

1985年9月20日のパリ。

エッフェル塔の前に写る一人の女性。

この時彼女は67歳。


旅行が好きで、日本国内はほぼ周遊、香港、中国、アメリカ、ヨーロッパと、主要各国は制覇しているはず。

ハイカラでお洒落な人でした。

料理が得意で、どんな時でも彼女は手料理でもてなす人でした。

編み物も得意で、本なんか一切見ずに、セーターからワンピースと、なんでもチャチャっと編める人でした。

ちょっとプライドが高くて、気の強いところもあったけれど⁉︎、孫には優しいおばあちゃんでした。


2020年9月16日、そんな彼女が102歳の生涯を閉じました。

数年前に倒れてから何度も危ない時期があったのに、そのたびに奇跡的な回復を繰り返し、お風呂に入れるぐらいにまで元気になれたのに、さすがに今回はこれが最期となりました。


100年という長い人生、もう思い残すことは無かったでしょう。5人の子供を戦争という辛い歴史の最中に育て、戦後は職業婦人として働きづくめだったけれど、行きたい所にも行ったし、食べたいものも食べ尽くしただろうし。11人の孫、13人のひ孫、そして去年は玄孫にも恵まれたのですから。

ただ一つ残念だったのは、その玄孫(つまり私の孫ですが、)に会わせてあげられなかったこと。でもその子が生まれた写真を見て、「かわいいね〜かわいいね〜」と言って喜んでくれたことは、最後の良い思い出になりました。



102歳ともなれば大往生で、悲しみよりも、ある意味お祝いだからってみんなで明るく見送ったけれど。


C’est bien quand on peut dire au revoir à quelqu’un qu’on aime bien .

大好きな人にちゃんとお別れが出来て良かったね


と夫からのメール。

そう言われて、初めて涙が出ました。

お別れを告げにここまで会いに来て、やっぱり良かった。


「おばあちゃんにとって一番思い出に残る旅はどこでしたか?」

と生前看護師さんが聞いたら、

「パリで食べたクロワッサンの味が忘れられない!」と言ったそう。

おばあちゃんにとってもパリは魅力的な街だったようです。


この人の人生のまだ半分しか私は生きていない。

でも彼女が67歳で初めてパリを訪れたなら、それまでに、そしてそれから先も何が起こるかわからないし、何だって出来るような気がします。


私もあなたのように、67歳になってもエッフェル塔の前に佇む自分を目標に、がんばっていくからね!

どうか見守ってください。


Adieu ,ma grand mère !